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        慢性甲状腺炎

慢性甲状腺炎(橋本病)=

「私は皆からなまけ病といわれていたの。」

「他人には分かってもらえないけど薬を飲む前は辛かったのよ。」

初老の女性が笑いながら私に思い出話を話してくれました。

彼女の病名は慢性甲状腺炎(橋本病)。

慢性甲状腺炎は自己免疫疾患と考えられています。

人間の身体には免疫という機構があります。

免疫とは、自分の身体の外から入ってくるもの(例えば細菌、ウィルスなど)に対して戦うという極めて重要な役目をしているのです。

自己免疫疾患とは、この免疫の機構に異常が生じ自分の組織を外部からの異物と認識してしまい、それを破壊してしまう病気です。

慢性甲状腺炎は免疫のくるいから、自分の甲状腺を異物として誤認してやっつけてしまう病気です。

その結果、甲状腺ホルモンの低下がおきてきます。

甲状腺ホルモンは、簡単に言うと、身体が活発になる時に使われるホルモンです。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)という病気を聞いたことがあると思います。

甲状腺が活発に働いて、ホルモンが異常に高くなる病気です。

この場合、全身が活発になり、さまざまな症状がでます。例えば、エネルギーがどんどん使われるので、食欲も亢進しますが、食べても食べても体重は減少します。

発汗や微熱が出たりします。脈も速くなります。精神的には、ハイ テンションになり、

イライラしたりして落ち着きのない感じさえ受けます。

甲状腺ホルモンが低下すると全くそれと正反対になります。

さほど食べないのに太ってきます。

精神的活動力は低下します。

「なんとなくやる気がおきない。」、「朝起きられない。」「頭が重い。」「肩がはる。」 

最初に現れる症状はいわゆる「不定愁訴」というもので、これといった症状はありません。

前述の女性が、周りの人からみて「なまけ病」と思われたゆえんです。

さらにホルモンが低下すると、心臓や肝臓への影響や歩行難がでてきます。

診断は血液検査で甲状腺ホルモンを調べれば容易ですが、医者が慢性甲状腺炎を疑うかどうかです。

慢性甲状腺炎に気がつかれづに,ちょうど中年以降の女性に多いので「更年期」と診断されたり「自律神経神経失調症」と診断されたりすることが多いようです。

「やる気がおきない。」というと、「うつ病」と診断されて精神科にまわされて抗うつ剤を

飲まされている患者さんもいます。

甲状腺ホルモンの不足で元気がでないところに無理に薬で元気にしても、患者さんにとっては辛いだけです。

治療は簡単です。不足したホルモンと同じものが薬でできていますから、不足分を薬でおぎなうだけです。ホルモンが正常になれば元気になれます。

症状に心当たりのある方は甲状腺ホルモンを調べてもらいましょう。