= 狩場山 =
小樽から日本海沿いに車で数時間行くと、寿都という小さな港街がある。その街からしばらく行くと、海の傍に、狩場山という1500mほどの独立峰がある。
北海道の岳人には、夏にエ−デルワイスが咲く山として、暦舟川という沢登りの難易度の高い沢があることでも知られている山である。暦舟川は泳ぎが必要だそうで、泳ぎに自信のない私は沢登りで登ろうと考えたこともない。
せっかく寿都に来たのだからと、すし屋に行く。寿都についた日は雨だったが、すし屋のおやじさんが「この雨の中でテントで寝るのも大変だろう。」ということで、すし屋さんの宴会用の部屋に泊めてくれた。朝ごはんまでごちそうになり、感謝、感謝。
翌日は、うって変わって、快晴。
バスで賀老台地に行く。賀老台地はうっそうとした広い原野で、いかにも熊のでそうなところである。道南の熊は気が荒いと言われ、畑仕事をしていた主婦が襲われた、という話も聞く。賀老台地を恐る恐る歩いていく。
賀老台地のはずれに、めざす狩場山がある。5月のゴ−ルデンウィ−クに行ったが、山はまだ、残雪に覆われていた。海から一気に1500m登るので、けっこう辛い。
下山してから、“賀老の滝”という滝を見に行った。賀老の滝は高さはないが、水量の多い滝である。滝つぼに江戸幕府の金塊が隠されているとの伝説があるそうだが、あの水量では、確認は困難だろう。
バス亭で帰りのバスを待っていると、先輩が「あれ!変だ。変だ。」
やがて、我々に「ごめん。カメラにフイルムを入れてくるのを忘れた。」
クラブで一番、後輩の信頼の厚い先輩だったが、その信頼が崩れていく。
雲ひとつない晴天と残雪の白い山。絶好の被写体だった。
それから、山へ行く時は、必ず自分のカメラを持っていくようになった。